構図力を鍛えるなら、ジブリのレイアウト展へ行くといい。
どうも、写真家になりたい小池です。
県立美術館で行われているスタジオジブリのレイアウト展に行ってきました。
展示会詳細
1000点を超える展示は圧巻で、母とふたり、午後1時から午後5時までたっぷり4時間掛けて鑑賞しました。
音声ガイドを借りてまわったのですが、後半は時間が足りず、駆け足となってしまいました。
しかしこのレイアウト展、写真家になりたい僕にとって非常に良い勉強になりました。
レイアウトに学ぶ写真構成
さて、そもそも今回のレイアウトとはなんなのか。レイアウト展のサイトによると
「レイアウト」は、一枚の紙に背景とキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークや撮影処理など、そのカットで表現されるすべてが描かれた、映画における設計図にあたるものです。
アニメーション制作におけるレイアウトは、作品の統一感を保つ上で重要な役割を果たしており、そこにはキャラクターの疾走感や躍動感、映画的な空間構成までもが表現され、作り手たちのイマジネーションにあふれています。
レイアウトは映画の設計図でそのシーンの動きを説明します。
1秒の動画には24枚の静止画が必要とされます。
2秒のシーンなら48枚分、3秒なら72枚分の静止画を説明しなければなりません。
印象強い構図で描かれたレイアウトは一枚の絵としても強烈なメッセージを持っています。
これはつまり写真です。
それも最高レベルの写真と言ってよいでしょう。
一枚の写真を構成するのは、大きく分けて以下の3つ。
- 主題 その写真で最も伝えたい内容(主役となる人や物、事象などなど)
- 副題 主題を支え、情景をより鮮やかにするもの
- 背景 主題と副題を支える物語性(季節や場所、状況などなど)
そしてその組み合わせ方が構図と呼ばれるものです。
ジブリ展のレイアウトに置き換えると
例えばパンフレットに使われたこのレイアウト。
この場合、
という要素を二分割*と日の丸*を複合した構図で描かれています。
*二分割構図 写真を上下(又は上下左右)で二分割した構図
風景写真やシンメトリーを写す場合多く用いられる
*日の丸構図 主題を写真の真ん中に持ってきた構図
ポートレイト写真などで多く使われる
二分割構図によって爽やかな朝の空と、風にたなびく金糸の草原をバランスよく配置し、日の丸構図によって主題であるナウシカを際立たせ、シンプルながら印象強い絵に仕上げています。
そして次に注目すべきはこのレイアウトの物語性です。
レイアウトの物語性
物語とは動きと流れ、そして感情です。
もう一度レイアウトを見てみましょう。
すると王蟲の金糸の向き、光の粉の向き、そしてナウシカとテトの視線。
全てが右を向いていることが分かります。
この向きの統一が絵に一体感を持たせ、
また、金糸や光の粉、ナウシカの髪などが右上に向かう風を表現している一方、
ナウシカの優しい視線は右下に向けられ、その先にいる無事な仲間たちへの安堵を示しています。
このふた方向のベクトルが、この絵の画面外への広がりを感じさせ、非常に印象的なシーンが形作られているのです。
これらを写真に活かすにはどうしたらいいのでしょうか。
「一眼レフで見た風景ではいけないんです。僕たちが見ているのはレンズを通して見ている景色ではないんだから。」
レイアウトに関する宮崎駿監督の言葉。
この言葉を理解し、自分の撮る写真に活かすことができた時、僕は写真家になれるのだと思います。
今回はこんな感じです。ではまた。